サドル

自転車乗りは散歩をするとき、サドルをポケットに入れて出かけることが多い。疲れたとき、サドルに座ると楽だし、何より安心できるから。
やっぱり使い慣れたフィジークが良いのは言うまでもないが、うっかり失くしてしまってもいいように、使い古しを持って山へ出かけた。

途中池があり、景色がよいので少し休憩することにした。
サドルを出して座ろうとすると、サドルがコロコロ転げて池に落ちてしまった。
あ〜〜〜〜。
池は深く、サドルは見当たらない。沈んでしまったようだ。しかたない。あきらめて帰ろうとすると、池から煙がモクモクでてきて、仙人のようなおっさんが現れた。
おっさん「お前は今サドルを落としなすったか?」
私「はい。」
おっさん「お前の落としたサドルは、金のサドルか?銀のサドルか?それともボロボロの革のサドルか?」
私「ボロボロの革のサドルです。」
おっさん「正直者よの〜〜。ほれ、革のサドルじゃ、受け取れ。」
私「ありがとうございます。」
受け取ったサドルはキレイな黄色い革に張り替えられていたとさ。
めでたしめでたし。