裏京見キ談

高雄から中川を抜け杉坂に入るところを杉坂口というが、そこに橋がかかっている。大きくはないのだが、谷が非常に深く、高所恐怖症の私はゾクっとする。それでも怖いもの見たさで橋の中央付近から下の方を眺めながらのんびり自転車を走らせていた。ここから落ちたら死ぬかな?とか、でも自転車をこんなところに置いておくと、ぱくられるなー、とか、全く死ぬつもりもないのに考えていた。
すると右側からマリアローザカラーのディスカバリーチャンネルのジャージを着た人が「おはようございます」か「こんにちわ」か、よくわからないが、ともかく声をかけて抜いていった。知人が同じジャージを持っているので、一瞬自分の知人かな、と、思ったが、よく見るとタイヤの色が黄色なのでたぶん違う。知人ならもう少し派手に声を声をかけるはずだ。で、少し距離をおいて追走。いつの間に追いついていたのか、それにそれほどのんびり走っていたかなー、とかいろいろ考えながら走る。なかなか速いのですぐには距離が詰まらない。杉坂の集落を越え、傾斜が少し急になるところで追いついた。後ろから少し観察すると、自転車もトレックのディスカバリー仕様だ。それに結構肌寒いのに半袖半パン、ボトルはポラーの保冷ボトル。先ほどみた路上の温度計では14℃。私はウインドブレーカーを着てちょうどいいのに元気な人だ。で、そのまましばらく後ろについて走っていたが、知らない人に後ろにつかれるのも嫌だろうから、車が追い抜いていく時に便乗して追い抜いた。抜く時にどんな人かちらりと見てみると、かなり年配のおじさんである。いや、人は見かけで判断できないが、自分の人生でつちかった判断力では60歳を超えている感じ。で、シッティングのまま少しペースを上げて走る。がんばっていないふりをして、実はがんばって走る姑息な走法だ。そこからも傾斜に緩急はあるが登りが続く。シッティングのままハイスピードを維持する走りを心がけた。しばらくして峠のピーク手前、水飲み場の所で、まさかついてきていないだろうと思いながら、初めてちらりと後ろを振り向くと、真後ろのスリップストリームマリアローザが!げっ!速い。そこからはシッティングのまま、しゃにむに回転を上げ、最後の直線をダンシングでふりきるように一気にかけ登った。で、そのまま振り向かず左折して峠を下る。下りは苦手なので無理せず流す。かなり息が荒い。そのまま呼吸を整えながら、非常にゆっくり走ったが追いついてこない。下りきって、ちょっと待ってみたが下りてくる気配はない。あれ?消えた。今日はその人のおかげで非常にいい練習ができたのだが、もしかしてあれはまぼろしだったのか。。。。