火曜朝山(改訂版)

その日は顧問、軍曹、商人の三名。
前の日曜日の山ライドでザックが重くて仕方なかったので平日朝山程度の装備にザックの中を整理。
補給食がゼリー、パワーバーなど5個ほど入っていたのを1個に。
26インチ用インナーチューブ2本とパンク修理キット、なぜか29インチのチューブも1本入っていたので、26インチチューブ1本と修理キットだけにする。
サスペンション用のポンプを出す。
チェーンカッター及び簡易工具、空気入れはそのまま入れておく。
ボトルケージがあるので予備の水ボトル500mlは持たない。
携帯電話が見当たらなかったので無し。
ついでにiPadも持って行かないことにする。
これでザックはずいぶん軽くなった。背中が軽いと気分も軽い。



その日のメニューは通称ルパンコース。朝山の中では距離が長め。舗装路で峠を登って、一旦向こうの集落へ下ってからシングルに入る。
尾根伝いに軽いアップダウン。ここはまだ序章。そこでトラブル発生。本格的に下る直前の斜め根っこを越える時に顧問転倒。
特にスピードが出ていたわけでもないのになかなか起き上がってこない。近づいてみると、
「折れたーーー。」
え??
起き上がれない顧問を介助しつつ起き上がらせると、左腕が普通曲がらない方向に曲がっていた。コケて手をついた瞬間バキバキ!と音がしたそうだ。出血はなさそう。頭を打って変な事を言い出す様子は無し(以前そんな人がいた)。
さてどうしよう。
私、携帯電話無し、最低。
軍曹、顧問、ソフトバンク。共に圏外。
なんとかしなくてはならないけれど、命に別条がないならこんな山の中まで救急隊を呼ぶわけにはいかない気がする。もちろん山の中なので救急車は入れない。
とりあえず軍曹一人で電話の繋がる所まで行ってもらい顧問の家に連絡、迎えに来てもらうように頼む。私は顧問を連れて自転車二台を持って舗装路まで移動することに。
非常に痛そうだけど身体がでかいので担ぐのは、無理。自力歩いてもらう。
自転車に乗ればほんの数分の距離が、歩くとかなりある。特に怪我人には大変。あと舗装路の平坦なら自転車二台運ぶのもわけないが、アップダウンのある狭いシングルでは非常に困難。一台右肩で担いで一台左手で押してみたり、二台の間に入って押してみたり、一台乗って運んで、それを置いてランで戻りもう一台乗って運んでみたり、いろいろ試す。試しながら自分が試されている。そんな気がしてた。
なんとか二人で舗装路まで出ても、まだ携帯電話は繋がらない。軍曹も見当たらないのでどこか電話の繋がるところまで移動しているようだ。周囲に住宅が無いので繋がらないのは必ずしもソフトバンクが悪いわけではないと思うが、もしかしたらAUdocomoなら繋がったかも?とか思ってしまう。
ここに顧問を置いて、救援の車を誘導してもよかったのだけれど、この場所がわかりにくく、車が入ってきても引き返すのが困難な場所なので顧問にはもう少し歩いてもらう。
行きに乗って来た舗装路を歩いて登って下る。氷室別れまで戻ったら顧問の奥様が車で迎えに来てくれた。軍曹が中に乗っていた。軍曹グッジョブ。奥様すみません。
顧問と顧問の自転車を車に載せて見送る。軍曹と二人、この日はオフロードは走らず帰宅。
帰宅8時30分頃。子供を学校に送れなかったけど大した問題ではなく、朝の梅ちゃん先生は見れなかったけど昼休みにしっかり見たし、仕事にも差し支えなし。
後から怪我の状態を聞いたところ骨折ではなく脱臼だった。


仕事前のマウンテンバイクというのは非常にリスキーで、怪我をすると家族にも仕事場にも迷惑がかかる。オンロードなら単独事故でも通行人に助けを求めることも可能だが、山の中で一人で怪我をしたらまずしばらくは発見されない。今回たまたま三人だったが、一人だと山から自転車を持って脱出するのは非常に困難だし、脚でも怪我をしていて、携帯が圏外で繋がらない状態だと最悪である。それでも私自身は山に入るのを自粛する気は今のところ無い。家族や仕事関係各位から無責任と言われればそれまでだけど、今まで以上に大事に至らないような仕組みを考えていきたいと思う。