#京都退屈日記

先日、親戚のうちに遊びに行った。
テーブルのうえに一人分ずつとりわけられたスパゲッティが6皿ほどあった。
ゆでたパスタにミートソースがかかったものだ。
で、私に、先に食べるように言われたので、フォークをもらい、一人で先に食べ始めた。
皿にスペースをつくり、一口で口に入る分量のパスタをくるくるとフォークにまきつけては音をたてないように口に運ぶ。パスタがうまくソースにからんでいないとパスタの滑りが悪く、巻いた時の玉がおおきくなりすぎてしまう。そうなるとまたパスタをフォークからほどき、小さな玉にして口に運ぶ。
ま、特別に意識することもないが、パスタを食べる時はいつもそういうふうに食べてきた。
しばらくして、その家の家族ががやがやと帰宅してきた。みな次々に食卓につき、めいめいがテーブル中央にある箸たてから無作為に箸をとり、モリモリとまるで焼きそばを食うようにスパゲッティをほおばっていく。時にはずるずるとうどんを吸い込むように食う。
そうそれが当たり前なのである。
これがここではスタンダードであり、別におかしいことではない。
わざわざフォークをだしてもらうほうが特別なことなのだ。
私の手のフォークは大きく上段に振りあげた刀、抜いては見たけれど、振り下すことも、元に戻すこともバツの悪い存在なのか?
いやいやそうとりたてて話のネタになることもなく、私は一人フォークでスパゲッティを食べ終わった。